憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
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授業が終わった瞬間、あたしは教室を飛び出した。
行く先は、千秋がいるであろうホーム。
名案なんて結局、ひとつも浮かばなかったけれど、あたしはまだ千秋に何も話していない。
とにかく、一度きちんと説明しなくちゃ。
信じてくれないかもしれないけど、それを恐れていたら結局また何も出来ずに後悔する。
そんなの、もう嫌だ。
ホームまでの距離を、こんなにも長いと思うこと、今までなかった。
走って走って、ようやくたどり着いたホーム。
ノックもせずに、扉を開けた。