憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「真知!」

いきなり飛び込んできたあたしに、千秋はとても驚いた顔をした。
その状況に息を呑む。

千秋の腕は、純子の肩を抱き寄せていて。キスをしていたんだと、嫌でも理解出来てしまう。純子は真っ赤になった顔を隠すように、千秋の服に顔を埋めた。
冷静にならなければ。そんなこと、わかってるのに、あたしは高ぶる感情を抑えることが出来なかった。

「やめて!!」

あたしは、生まれて初めて、千秋に対してこんなに大きな声を出した。
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