憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「千秋君、純子と付き合うのね」
「……先輩も、もう知ってるんですか」
「QS内で今日一番の話題よ。ふたりとも人気あるからね。けど、皆お似合いだって言ってる。なるべくしてなったカップルだってね」
「あはは、やっぱり……、そうですよね」
表向きは女の子らしくて気遣いも出来る純子と、誰にでも優しくて人望のある千秋。誰が見たって、そう思うに決まってる。
あたしだって真実さえ知らなければ、皆と同じように思っていたに違いないのだ。
「千秋君、ずっと純子のこと好きだったもんね」
「な、なんで知ってるんですか!!」
思わず声を上げれば、先輩は馬鹿にしたように口角を上げてあたしを見た。