憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
『真知』
そのとき、ふと脳裏を過ぎる人。
驚いて思わず目を見開いていた。
おかしいな、今……、あたし、誰を思い浮かべた?
"契約だよ"
その言葉に、漆黒の瞳に、あたしはいつのまにか縛られてしまっているんだろうか。
だって、そうでなければおかしい。
今、確かに尚のことを考えた。
あわわ、やばい。
ついに洗脳レベルに達している!?
サッと顔を青くしたあたしに、先輩が怪訝そうに眉を寄せた。