憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

こんなにも、死にそうなくらいに気持ちが沈むのは、何があってもあたしを信じてくれた千秋に、あたし自身を否定されたから。

けど、それ以上に。無力な自分が情けなくて、悔しいからだ。

「先輩……、あの」

「なに?」

「例えば、なんですけど」

小さく息を吸い、どうしても先輩に聞きたかったことを口にする。
誰よりも強い意志を持つ、紗雪先輩に。

「もし、更夜先輩が悪い女に引っかかっちゃったらどうしますか?」

「ええ!?更夜が!!……別に、正直、更夜が誰に引っかかって、どんな酷い目に合うかなんて興味ないけど」

「はい、で?」

先輩は、あたしの言葉にムッとしつつ、"そうね"と小さく首を傾げた。
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