憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「言っておくけど、千秋は純子のことを信じきってる」
「……知ってる」
あたしは運ばれてきた唐揚げに手を伸ばそうとすると、ぺしっと手の甲を叩かれた。
「これ、俺の」
「うぅ」
唐揚げを頬張る姿でさえ麗しい尚を小さく睨む。
そんなあたしを鼻で笑った。
「真知にコレを食す資格はないよ」
「左様ですか」
「学べない人間ほど愚かなものはないね。あんたに成長するという能力はないの」
ムッとしながらあたしはオレンジジュースを啜る。
正直、お腹はもう水分でたぷたぷなのだけど、なにか口にしていないと気がすまない。
「真知もショックを受けてるようだけど」
「……はい」
「千秋も相当落ち込んでたよ」
「……知ってるよ……」
思わず目頭が熱くなる。
あのとき、あたしが純子を否定したときの千秋の表情が忘れられない。