憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「最近、なんだかずっと上の空で。あまり家にも帰ってこないのよ。なんて、ハタチの男の子だし、私も心配しすぎかしらね」
「おばさん……」
思い切りあたしの所為でもあるから、なんだか罪悪感でおばさんの顔がきちんと見れなかった。
「真知ちゃん」
「なに?」
「千秋のこと、いつも頼んでばかりでごめんね」
「え、」
「あの子、ほんとうに昔から真知ちゃんがいないと何も出来ない子だから」
「まさか、そんな……、そんなことないよ」
むしろ、千秋がいないと何も出来ないのはあたしの方だ。