憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

幼馴染って、なんて難しい厄介なカテゴリーなんだろう。
友達でも恋人でもない。

曖昧な関係は想像以上に厄介だ。原付を駐輪場に止めて、ホームに向かう。
千秋が居る場所は、いつもホームだ。静かで、誰かが置いていった本やマンガ、ゲームなんかが揃うこの場所はずっと千秋のお気に入り。

一々連絡なんてしなくても、なんとなくその行動は読めてしまう。
家族の次に近い、存在だから。

あたしは、はやる気持ちを必死に押さえて、ゆっくりと廊下を歩む。
また勢いだけで千秋を傷つけてしまわない様に、しっかりと理性を保つ。

ホームのドアにそっと手を掛けた。

鍵は開いている。

「……っ」

あたしは驚いて、そっとドアを薄く開けた。
そこにいたのは、千秋と尚だった。
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