憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「ごめんな」
「え……!?なになに、どうしちゃったのよ」
おずおずと、千秋があたしを見る。
「昨日……」
「ああ、酔い潰れちゃったこと?」
「あの後、母さんにコッテリ絞られたんだよ。俺が真知を誘ったのにな…」
「いいよ、別に。今更あんたのみっともないところ見たってなんとも思わないから」
「グサッとくる言葉をどうも…」
あたしは、この空気に耐えられず、そっと灰皿に手を伸ばした。それに目ざとく、千秋はストップをかける。
「煙草、やめろよ」
「なんでよ。千秋に関係ないじゃん」
「煙草を吸う女は、モテないぞ」
むっかー…、あんたがそれを言うか。
そうですね、きっと愛しの純子ちゃんは煙草なんてもん吸わないんでしょうね。苛々しつつ、煙草をクッションの下に隠した。
「おまえ、彼氏いないだろ?ていうか、いたことないだろ」
「ていうか、とか言うな」
ムッとして言い返す。