憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「……なんなんだよ」
千秋は、動揺を隠さずに言葉を漏らした。
いつもと違うと感じたのか、千秋はようやくあたしとちゃんと向き合う。
手をひいて、もう一度ソファに座らせた。尚はその様子を遠くから見つめ、更夜先輩専用の一番立派な椅子へ腰掛けた
(……尚はなにかとこの椅子に座りたがるのだ)
小さく、息を吐く。
何から伝えればいいのか。冷静にと、何度も呼吸を繰り返すけれど心臓はバクバクと大きな音を立てるし、頭の中は正直混乱してる。
「ちーちゃん」
「……それはやめろって」
思わず昔の呼び名で呼んでしまった。それに、千秋は恥ずかしそうに頬をかいた。
昔確かにあった、懐かしい光景だ。