憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「俺、真知に嘘吐いた。嫌いなんて、嘘だよ。沢山酷いこと言ってごめんな」
「……ううん」
「純子は、何か、真知や尚を怒らせるようなことをした?」
何を偽ることもせず、あたしは項垂れるように頷いていた。
「千秋は、純子の全部を知らない。純子は、自分勝手に人を騙して傷つける。あたしも……、尚だって、千秋に傷ついて欲しくないんだ」
「そっか」
「そっかって!あんたこそ馬鹿じゃないの!?どうして怒らないのよ!」
千秋はにこりと笑って肩を竦めた。
「ほんとうに、ごめんな。ふたりとも。俺のためにきっと一生懸命考えてくれたんだよな」