憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「はあ……。もう、あんたってどこまでお人好しなのよ」
「そうか?真知よりはマシだろ」
あはは、と呑気に笑う千秋に思わず泣きそうになってしまう。
ちらりと横を見ると、尚はなにやら酷く不機嫌そうな顔をしていた。
すっと千秋を見上げる尚。
「どうしようもないね、千秋は」
「……ヒサ」
おいおい、ここでどんな毒を吐くつもりですか。
あたしは内心ヒヤヒヤしてしまう。
「本当に、救いようがない」
「やっぱ酷ぇなァ、ヒサは」
腕を組みながら尚は言った。
「弔い合戦くらいはやってあげるよ、仕方ないから」
面食らった顔をする千秋に、尚が小さく笑った。
尚は、今回の事に対して手を出さないと言っていたのに、結局なんだかんだでしっかりと関わっている。
お人好しは千秋だけじゃない、尚だって、なんて考えてたらまるで心を読まれたかのように尚に睨まれた。