憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

「泣き顔見るのうざいから」

「……あは、」


思わず笑えば、尚はぺシッとあたしの頭を軽く叩いた。

尚、ありがと。
口に出して言ってしまえば、きっと素直に受け取ってはくれないから心の中で呟く。

精一杯の感謝を込めて、あたしは尚を掴む腕にそっと力を込めた。
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