憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「キミ達って、なんでそんなに"椎名純子"に隷属してるの」
「……隷っ!?人聞き悪いこと言わないで。違うわよ!私達は親友よ」
「椎名純子の親友になると、随分と美味しい思いが出来るみたいだね」
尚の挑発に乗り、今にも再び飛び掛りそうになる多恵を、今度は美香が止める。
いつも純子の影に隠れて、あまりふたりのことは良く知らない。
けれど、美香に比べて多恵は随分と感情の起伏が激しいタイプらしい。
「多恵、そろそろ行かないと。純子が……」
「っ、もう全部お仕舞いよ。折角だから、あんたの質問に答えてあげる。メリットなしで、こんな茶番劇続けられるわけないでしょう?くだらなくて吐き気がするけど、それ以上に便利なことが沢山あるの。けれど、千秋君も可哀想ね。折角純子と付き合えたけど、これで終わり」
多恵が、にやりと口角をあげる。
「千秋君は、上手に悪者にされて振られるわよ。だってこのまま千秋君と付き合っていたって、純子にメリットないもの」
「多恵!喋りすぎだよ!!」