憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
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広大な敷地を持つ誠東学園大学の最端にあるホームから、千秋と純子がいるという講堂までは随分と遠い。
有名な建築家が設計を手掛けたという建物は、大正モダンな造りとステンドグラスを嵌め込んだデザインでとてもお洒落だ。式典等で使うだけでなく、受講者の多い講義など、様々な時に学生達に利用されている。
息をゼーゼーと切らしながら、ようやく講堂にたどり着き、その古めかしい重たい扉を押した。
ゆっくりと周囲を見渡しながら、千秋と純子を探す。
授業が終わったばかりで、まだ殆どの学生が中にいたのだけれど、殆ど時間を掛けることなく、ふたりを見つけることが出来た。
「……いた」
尚がゆっくりと目を細めた。