憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「あたし、千秋のこと……」
立ち止まって、確かめるように言葉にする。
この先ずっと、例え叶わなくとも、変わらないと信じていた気持ちを。
"あたしが好きなのは、尚だよ!"
咄嗟に叫んだコトを思い出し、愕然として無意識に口に手を当てた。
「好き」
嘘。
どうしよう……、なんてこと、そんな馬鹿な。
「冗談に決まってる!まさか、ありえない!」
「……なにが」
「っぎゃあ!」
「うるさいよ」
あたしの真後ろから声を掛けたのは、尚だった。
しかも、もの凄く深い皺を眉間に刻んでいる。