憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

「こんなつもりじゃ、なかったんだけど」

「純子のこと?」

「ああ、うん。なんか、ぜんぶ滅茶苦茶になったな」

尚は、視線を空に向けながら、まるで独り言のようにぽつりと呟いた。

「……あんな風に、大勢の前で椎名純子を問い詰めることなんて、これっぽっちも考えてなかった」

「尚」

「真知からは予想外の告白もあったし」
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何か思い出したようにクツクツと笑う尚に、カッと頬が熱くなる。
勢いよく口にしてしまった言葉。

"あたしが好きなのは、…!"

「ち、ち、違うからね!あれは、あの場の流れというか、勢いというか!!」

完全にパニックになりながら弁解すれば、尚はなんとも冷めた顔をして「そうじゃなくてたまるか」と言い放った。
この野郎!!
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