憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「どうしたって、」
「聞いて欲しかったのかと思ったんだけど。違った?」
「違うよ、俺はただ……」
「らしくないね、千秋。助けて欲しい?話を聞いて欲しい?いつもみたいに図々しく、素直に言えば。何カッコつけてるんだ、千秋のくせに。どうせカッコつけるなら、もっと上手くやれよ」
千秋は驚いた顔で尚を見つめる。
そして、つい先程まで必死に浮かべていた笑みが消え、何か張り詰めていた糸が切れたように、その瞳に悲しみが滲むのだ。