憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


尚の部屋に招待された。
正直、今でも信じられない。出会った当初には考えられない事態だ。一体、どういう風の吹き回しだろう。
(それほど、尚も千秋が心配だった、とか)

「……なあ、真知。ヒサってビール以外に好きなものってあるかな」

「千秋と違って、尚はアルコールなら全般好きだよ。後は、ワインと焼酎も入れよう」

「いくらなんでも買いすぎじゃね?」

あたしと千秋は、タクシーをつかまえる前に近所のスーパーに立ち寄り、アルコールの類とお菓子をどんどんと籠に放り投げていた。
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