憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

「パーティでも開くつもり?」

ドアから顔を出した尚は、荷物を抱えるあたしと千秋に呆れたようにそう言った。

「ちょっと気合入れすぎちゃった。あはは」

空笑いを浮かべると、小さく溜息を吐いて「入れば」と尚は言った。
緊張気味にきょろりと視線を動かした千秋が、お邪魔します、と恐る恐る口にしながらようやく部屋へと足を踏み入れた。
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