憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「なんで、俺は真知を好きにならなかったんだろうな」
思いもしなかった千秋の言葉が胸に刺さる。
傍にあったブランケットをギュッと握った。
「自分がさ、嫌な思いしてんのに。馬鹿みたいに俺のこと心配して、そんなヤツ、他にいるのかな」
強く握りすぎて、指先が冷たくなる。
なんで好きになってくれなかったの、そんなのあたしが問いたいよ、千秋の馬鹿。
―あたしは好きだったよ。ずっと。
ずっと伝えられなくて、頑なに閉じ込めていた言葉を千秋に言った。心の中で。
尚は、千秋の言葉からしばらく黙っていたけど、ゆっくりとその言葉を吐いた。
「千秋は真知が好きなの」
ドキンと心臓が嫌な音を立てる。