憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
あたしの家のより倍は画面の大きいテレビをつける。
「「あ!」」
そこには、昨日擦れ違ったモデルが、新作映画のPRをしていた。
尚はその顔を見て、ああと頷いて「下の階に住んでる相田律だろ。最近よく女連れ込んでる」と、何のことなく言った。
のんびりした時間を三人で過ごし、ふと時計を見れば既に10時を過ぎていた。
「今日はサボり決定だな」
「こんな清々しい朝に、田丸の顔なんて見たくない」
尚は呆れた様に溜息を吐いた。
「そろそろ試験期間が近いのを忘れないことだね」
その忠告に、あたしは最近田丸先生の授業に出ていないことを思い出して、内心ひやりとした。
使った食器を片して、あたし達はようやく帰る仕度をし始めた。
さすがにいつまでも尚に甘えているわけにもいかない。