憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「馬鹿者!それは、昨日中に済ませておけと言っただろうが!!」
「す、すすす、すみません……!本当にごめんなさいっ」
既に言い訳することも出来ず、あたしは田丸先生の部屋で頭を下げていた。
ここ数日、QSの仕事やら何やらに忙殺され、うっかりレポートを出し忘れたのが運の尽き。日頃の態度から含め、ついに鉄槌が下された。
「失礼します」
背後で二度ノックが聞こえ、扉を開けて入ってきた人物に田丸先生が嬉しそうな顔をした。
「ああ、岡崎君。どうしたね」
爽やかな笑みを口元に湛えながら、小さく会釈する。
「お取り込み中申し訳ございません、教授。QSの北沢委員長に頼まれて黒崎さんを連れに来たんですが、改めたほうがよろしいですか?」
「おお、そうかね。わざわざ悪かったね、もう用件は済んだから大丈夫だよ。ほら、黒崎。彼にまで迷惑をかけるな」
そう言って、早く行けと扉を指差す。えらい態度の違いだな、おい。
「岡崎君、こないだまたあの古書の別シリーズが入ったんだよ、時間がある時にでも借りにきなさい」