憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

「おーい、千秋!そろそろ準備完了するぜ!!いつでも合図してくれよ」

原さんがそう声を上げるのに大きく手を振り、無線で運営本部に連絡を入れた。
アナウンスが入り、あたし達は再び現場誘導へと戻る。

一発目の花火が夜空に打ち上げられ、続いてド―――――ンと身体のうちを芯から震えさせるような音が鳴り響いた。

思わず、三人一緒に空を見上げていた。
金色の花が、一瞬の命を咲かす姿はなんて儚く美しいんだろう。


「お疲れ様ぁー」


振り向けば、そこにいたのは紗雪先輩と更夜先輩だった。
手には綿飴に水風船、あとは、なんの景品だろう、お世辞にも可愛いとは言えないぬいぐるみをしっかりと抱えていた。

「花火、今年も無事に打ち上げられてよかったわね」

「原さんたちに助けられてばかりでしたけど」
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