憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

しぶしぶとそれを受け取った。

これ以上、許しを乞いても田丸には通用しないだろう。
ぱらりと捲ったときに、田丸の儚げな髪の毛がページの隙間に挟まっているのをみて、体中にぞわっと鳥肌が立った。

「どうもすみませんでした」

棒読みでそう言って、部屋から出る。その足でQSのホームへと向かった。
誰か英語の得意な先輩でもいれば助けてもらおうという作戦だ。国際科なんて名ばかりで、あたしは英語が出来ないのだ。

ゆっくりと、ドアを開けようとするも、中からは楽しそうな声が聞こえる。

誰だろう。ドアの前で首を傾げる。そっと、鍵の開いているドアを開けて中を覗き見る。

「……うげ」

皮のソファに座ってたのは、紗雪先輩と、更夜先輩、そして岡崎尚だった。
そっと影から観察を開始する。
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