憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


『――あと、少し。そうしたら、ちゃんと解放してあげる』


耳元で呟かれた言葉に、あたしは大きく目を見開く。
縋るように、あたしの首筋へと顔を埋めた尚の背中を、ただただぎゅっと抱き返していた。
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