憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

そう言って、脱力したようにぽすんとソファに腰を落とした。

シンと静まり返る空間で、ポケットに入れていた携帯のバイブが大きな音を立てて震える。驚いて画面を見れば、それはお母さんからの着信だった。

『……真知!あんた、結衣ちゃんほったらかして、何をしているのよ!!』

「え、ど……どうしたの?」

電話口で、酷く慌てた様子のお母さんが声を上げる。
告げられた内容を聞いて、愕然とした。
電話を切ったあたしに、ただごとじゃないと気づいた千秋が、「どうしたんだよ」と声を掛ける。

「結衣ちゃんが、倒れたって」

それを聞いた瞬間、尚が息を呑んだのが分かった。

「病院はどこ」

「誠東大学病院だって」
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