憂鬱なる王子に愛を捧ぐ


「……ッ、あァ…」

「真知」

「……くそっ、やばいっ」

「真知!」

「いやああっ!!」

パシンと頭を叩かれて、ハッとする。
瞬間、無意識に操作していたコントローラーが手から離れて、テレビ画面が黒一色に変わり、真っ赤な文字で『GAME OVER』が告げられた。

「お母さん、酷い!ここまで来るのに、何時間かかったと思ってるの!」

「昼間っからクーラーつけてゲームして、呆れた。ほら、電話よ、電話」

子機を手渡しながら、お母さんはあからさまに溜息を吐いた。
なによ、こんなクソ暑い日にわざわざ外に出る方がおかしいんだっつうの。

叩かれた頭をさすりながら電話に出る。
携帯電話ではなく、わざわざ家の電話にかけてくるなんて一体誰だろう。
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