憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
少し、待ってみよう。
このまま尚が帰ってこなかったら、今日は近くのホテルにでも泊まって、そうだ、美華さんのところに行ってるみるのも手だ。
考えを巡らせながら、うつらうつらと頭が揺れる。
ここ暫らくずっと睡眠が浅かった所為で、急激な眠気に襲われる。
―結衣ちゃん、元気かな。
寂しげに瞳を揺らす結衣ちゃんの姿が一瞬、脳裏に浮かぶ。
伸ばされた手。
その手を取ることなど今のあたしには出来るはずもなく、引きずり込まれるように暗闇へと落ちていった。