憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
ああ、このままじゃ本当に、尚に殺される。
「……でも」
そっとあたしの手を、尚の片一方の手がとり彼へと招かれる。
「ちょ、ひ……、尚っ!」
完全にあたしはパニックに陥った。
もう、だって、何から何まで初めてで、身体全部が心臓になっちゃったんじゃないかってくらい、ドキドキバクバクとうるさい。顔だって、絶対に真っ赤だ。
だって触れてる。
あたしの指先が、尚の心臓に。その指先に感じるのは。
はっとして、あたしは尚の顔を見た。少し速い、彼の鼓動。
「……ポーカーフェイスすぎるよ……」
悔しくなって、あたしは思わずそんなことをつぶやいた。
尚はくっと、喉の奥で笑う。
―なんだ、そっか。
あたしは、少しだけホッとしていた。
「同じだよ」
息を吐いたあたしに、尚が優しく言った。
「うん、同じだね」
「俺が早死にしたら、真知のせいだから」
安心したら、自然と涙が滲んだ。それを確かめるように、尚があたしの目尻に口づける。
ぷつん、服のボタンがはずされる、小さな音が耳を掠めた。
「……尚」
頭の芯が、じりじりと痺れる。
不思議だ。尚の指は冷たいのに、触れた場所はまるで熱を持ったかのようにあつく感じる。譫言のように尚の名前を呼んだ。
「……でも」
そっとあたしの手を、尚の片一方の手がとり彼へと招かれる。
「ちょ、ひ……、尚っ!」
完全にあたしはパニックに陥った。
もう、だって、何から何まで初めてで、身体全部が心臓になっちゃったんじゃないかってくらい、ドキドキバクバクとうるさい。顔だって、絶対に真っ赤だ。
だって触れてる。
あたしの指先が、尚の心臓に。その指先に感じるのは。
はっとして、あたしは尚の顔を見た。少し速い、彼の鼓動。
「……ポーカーフェイスすぎるよ……」
悔しくなって、あたしは思わずそんなことをつぶやいた。
尚はくっと、喉の奥で笑う。
―なんだ、そっか。
あたしは、少しだけホッとしていた。
「同じだよ」
息を吐いたあたしに、尚が優しく言った。
「うん、同じだね」
「俺が早死にしたら、真知のせいだから」
安心したら、自然と涙が滲んだ。それを確かめるように、尚があたしの目尻に口づける。
ぷつん、服のボタンがはずされる、小さな音が耳を掠めた。
「……尚」
頭の芯が、じりじりと痺れる。
不思議だ。尚の指は冷たいのに、触れた場所はまるで熱を持ったかのようにあつく感じる。譫言のように尚の名前を呼んだ。