憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
苦しそうに、そう呟いた尚を思わず抱きしめた。
泣きながら尚に貰った指輪を握りしめていた結衣ちゃんの姿が浮かぶ。
「でも、結衣ちゃんはもう、優しいだけの嘘をつかれることなんて望んでないよ」
尚が、あたしの首筋へと顔をうずめた。首筋が熱い。尚は、ぐっと耐えるように「そうだね」と呟く。傷つけない、踏み込まない、そんな関係を結衣ちゃんは望まない。
時に怖くて、つらいこともあるけれど。それでも尚と共にありたいと願ったあたしには、結衣ちゃんのそんな気持ちが少しだけ、伝わった。