憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
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気がつけば、そこは小さな海辺だった。
サンセットを眺めながらふと千秋があたしを見つめた。
『真知……、好きだよ』
『あたしも。千秋のこと大好き!』
ゆっくりと千秋があたしの身体に腕をまわす。
あたしも同じように千秋を抱き締めようと腕をまわした。
けれど、不思議だな。
感じたのは温かい体温ではなくて、なぜだか。
「いったい!!」
体を突き抜けるような、鈍い痛みだった。
はっと目を覚まして、あたしは目の前に立つ人物をしぱしぱと見つめる。
「うぎゃっ!悪魔!!」
美麗な顔が、ぎろりとあたしを睨みつけていた。
「あれ?ここはどこ……、千秋?」
きょろきょろと辺りを見渡す。
そこはQSのホーム。
「いつまで寝ぼけてるつもり」
「……っ」
サーッと全身から血の気が引いていくのを感じる。
やばいです。