憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

「あ、あはは……は……」


乾いた笑いが口から流れ出る。
未だ痺れる頭。疑いようもなくあたしはきっと、いや絶対、尚にゲンコツを頂戴したのだろう。

時計をちらりと見る。
なんと、短針はすでに5時を差していた。どんだけ爆睡すれば気が済むんだ自分。

大体、他人に課題をやらせておいて自分は居眠りだなんて最低過ぎて呆れる。穴があったらマッハで入って、さらにその入り口を大きな石で塞いでもう二度と地上に戻りたくない。

「はい、これ」

「え?」

「え、じゃないでしょ。課題だよ。いらないの?」

「いります!もちろんいります!!」

受け取ったレポートの束。
それは20枚にも及ぶ量だった。一週間という期日で渡された課題をたったの半日で。

「ありがとうございます」

「別にいいよ」

タンコブの出来た頭を深々と下げながらレポートを受け取る。

「いっておくけど、それ、完璧じゃないから」

「へ?」

「所々間違えてあるってこと。完璧すぎたら、バレるだろ」

「……お気使いどうもです」

確かに、田丸はあたしの乏しい英語力を既にわかっているのだから完璧レポートなんて出した日には、もう一度お説教を食らうに違いない。悲しいことだけれど。

「まあ、後の勉強は千秋君にでも教えて貰えば?」

「あ……、うん……って、はあ!?」
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