憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

「君が千秋か」

尚が言ってまじまじと千秋を見つめている。

「おまえこそ、見かけない顔だな」

「一年間アメリカにいたから」

「だからかー。お前みたいなイケメン、見た事なかったしなぁ」

ニカっと笑いながら尚を褒める。尚も尚で、なぜだかまんざらでもない様子だ。

ちょ、千秋。
何ちょっと仲良くなろうとしてるの。これだから天然君は性質が悪い。

「おい、真知……」

「へ?」


ギュッとあたしの両手を握り締める千秋。

「よかったじゃねえか!」

「はぁ!?」

あたしの手を握り締めながら、うんうんと頷く。

「ようやくお前にも彼氏が出来たんだな…、本当よかったよ…」


サーッと顔から血の気が引く。
完璧に勘違いをし始めている!早く誤解を解かなければ、とんでもないことになってしまう。
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