憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「真知じゃない、もう授業終わり?」
「うん。今日は三限までだから」
きらきらと、輝く笑顔をあたしへと向ける。
どうしてか昔からあたしの周りには、顔の整った人間が集まるのだ。
それが喜ばしいことなのかはよくわからないけれど、千秋に尚に更夜先輩、性格を除けば紗雪先輩だってそうだ。
ムカつくことに中の中、いや、下。と尚に評されたあたしにとっては眩しくてしょうがない。
「純子も帰りなの?」
「うん、美香と多恵が来るのを待ってるの」
「あんた達も仲良いね」
仲良い女友達の少ないあたしとしては羨ましい。
この3人は何をするにも一緒だ。
しまいには、純子姫と2人の女騎士、なんて誰かが言い出す始末だ。なんだそりゃ、と始めこそ馬鹿にしたものだけど、実際いつも3人揃う様子を見ていれば、その例えは言い得て妙だった。
QSに純子が入るときも3人で志望したらしいのだけれど、更夜先輩の厳しい選考から漏れてしまったらしい。(ちなみにあたしは千秋の推薦枠……)
昔、美香と多恵が文句を言っていたのが思い出された。
あたしとは違って、小柄な純子。くっきりとした二重がぱちぱちと瞬けば、女のあたしでもクラクラと来てしまう。
レモネード色のスカートが、風に揺られてひらひらと靡く。
「純子!」
「おまたせー」
純子は、そう声をかけられた方を振り向く。