憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「それじゃ、二人の交際に乾杯ー」
「……」
「か……、乾杯……」
なんでこうなったんだっけ。
麗しの黄金の液体、生ビールを口につけながらあたしは行きつけの居酒屋『よろこんで』にいる。
メンバーは、千秋にあたし、そして尚。
ちらりと横を見てみれば、表には出していないものの尚も相当憂鬱そうだった。
憂鬱なのはこっちよ。
なんで、学外でまであんたと一緒にいなきゃならないの。
そもそも、ことの発端は数時間前のホームだった。