大人的恋愛事情
「そう、寝たのよ」
「付き合ってないって……」
「そうよ? 寝ただけだから」
アッサリと言ってのける私を圭がジッと見る。
その抜け目ない頭で今、どんな計算が弾かれているのか……。
暫くしてフッと笑う圭が、小さく呟いた。
「勝算あるな」
「ないわよっ!」
「だったらなんで付き合わねえんだ?」
「……」
「繭? お前のことは俺が誰よりわかってるんだよ」
そう言われて、なにも返せない自分が情けない。