大人的恋愛事情
 
「なによ」



「飲みたいなら好きなだけ飲め。なんなら酔ってもう一度、あの日みたいなことになってくれてもいいぞ」



笑いながらそう言う男から、引っ手繰るようにグラスを取る。



「ならないわよ、馬鹿じゃないっ」



そう言った私は、さすがにあの日みたいなことにはならなかったけれど、あの日と同じくらいは飲んだように思う。



そうすることで、簡単に思い出す圭との時間を忘れようとしていたのかもしれない。


< 133 / 630 >

この作品をシェア

pagetop