大人的恋愛事情
「なによ」
「飲みたいなら好きなだけ飲め。なんなら酔ってもう一度、あの日みたいなことになってくれてもいいぞ」
笑いながらそう言う男から、引っ手繰るようにグラスを取る。
「ならないわよ、馬鹿じゃないっ」
そう言った私は、さすがにあの日みたいなことにはならなかったけれど、あの日と同じくらいは飲んだように思う。
そうすることで、簡単に思い出す圭との時間を忘れようとしていたのかもしれない。