大人的恋愛事情
 
圭の声がいいことなど、言われなくても嫌ってほど知ってる。



低いわけでもないのに、その声はやけに魅力的で、美貴ちゃんの言う通り微妙にクセがある。



そのクセのある甘い声で、囁かれるのはいつも意地悪な言葉だったりして……。



『繭……腰揺れてる。早ぇよ、まだイクな』



『言えよ……どこがいい?』



『お前、感じ過ぎ……どんだけエロいんだよ』



そう美貴ちゃんの言う通り、もっと聞いていたい、もっと囁いて、その声で意地悪な言葉をもっと言って……。



そんなことをいつも思っていた。



圭は私がのめり込めば、のめり込むほど意地悪な言葉で焦らす。
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