大人的恋愛事情
受付嬢の視線が痛いのは気のせいって事で……。
「遅せえな」
正面ロビーのソファに座って待っていた圭にそう言われて、苛立ちを隠さず返す。
「だったら誘わないで。忙しいのよっ」
「また怒ってんのか? わざわざ繭と昼食いに行く為に、営業先から戻ってきたんだぞ」
そんなこと頼んだ覚えもなければ、そうして欲しいと思ってもいないのに。
どうして私のためみたいになってるわけ?
「で、なに食べるの?」
「なんでも、繭の食いたいもので」
後ろからの受付嬢の視線が痛い私は、圭の腕を取り社外に出た。