大人的恋愛事情
「繭、怒るなよ。な?」
甘えた声を出し笑いながら、片手をポケットから出して腕を組んでくる圭。
普通なら女の子がするその仕草を、大の男が恥ずかしげもなくする。
「やめて」
「いいだろ」
「圭っ!」
それを払いながら、漠然とした不安が胸に広がり、苛立ちよりも何故か泣きそうになった。
いつだってこうやって私に簡単に入って来る圭。
でもそれに乗った途端、痛い目を見るのは私。
それがわかっているのに、揺れる自分が情けなくて、悔しくて、どこか懐かしくて……。