大人的恋愛事情
『悪かったよ、繭……。本気で後悔してる。今度は絶対……』
圭の言葉を最後まで聞かずに、思わず受話器をガシャンと電話に置く。
「どうしたの?」
詩織が今総務に入って来たのか、私の横に立ち不思議そうな声を出す。
ホントどうしたのよ……。
どうしていちいち動揺するわけ?
一年も前に終わっていたはずなのに。
どこまでも簡単に私を捨てた男なのに。
その日一日、まともに仕事にならなかったのは言うまでもない。
どこまでも私に浸食してこようとする圭から逃れるには?
やり直そうと甘く冷たく囁く圭から……。