大人的恋愛事情
「早く入ってきたら? 寒くないの?」
「別に」
「ちょっと、ホント動きにくいっ。やめてよ」
こちらは料理をしている最中なので、そんな風に絡みつかれると動きもできない。
思わず首を微かに動かし、肩に乗る頭に視線を向けた。
「やめて」
静かに諭すように言うと、諦めたのか藤井祥悟は腕を放してリビングを出て行った。
鍋を火にかけ、材料を順番に入れていく。
全部の材料を入れ終わったところで、何気なくリビングにある時計に目を向けた。
時間はもう8時になっていて……。
本当に圭は家に来ているのだろうか?