大人的恋愛事情
 
シャワー上がりで、下は楽なスエットのようなものを履く藤井祥悟が、この前ホテルで見た時と同じように、上は裸で頭をタオルで拭きながらキッチンに入る。



「ごめん……大丈夫?」



「大丈夫なんじゃないかな」



鍋の火を調節しながら、軽く答える藤井祥悟が慌ててキッチンに入ろうとする私を見た。



「気になってるのか?」



そう言いながら、視線を私の手元に向けるので、それを無意識に追いかけると手には携帯が握りしめられていて。



「別に……」



呟くようにそう言う私の顔に視線を戻す。



「佐野も入ってこいよ」



「え?」
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