大人的恋愛事情
さすがに男の家に泊めてもらうのに、なにもないことを期待していたわけでもない。
最悪この男とそういうことになっても、圭から逃れられるならと思っていたのも事実で。
あの日のこの男とのそれが、どんなだったかを思い出しながら、黒い瞳を見つめ小さく頷いた。
圭に捕まるよりはましだと、揺れる気持ちをなにかで繋ぎ止めておかなければと、そのためには多少本望でなくても仕方ない。
この状況を有利に利用するのは、藤井祥悟なのか私なのか……。
どこまでも簡単に私に入って来ようとする圭から逃れるために、悪くないSEXをするこの男に一時、縋ってもいいのではないかと。