大人的恋愛事情
 
携帯の着信音が響く中、藤井祥悟がカウンターを回りキッチンへと入って来る。



先ほどと同じように後ろに立つ男に、一瞬緊張するけれど、あの日の藤井祥悟を思い出すとその緊張も解れる。



確か優しかったように思う。



まあ酔っていたので、鮮明に覚えているわけでもないけれど、圭のように追い詰めてくるような行為ではなかった。



焦らし追い詰められ、意地悪な言葉で煽られる圭とのSEXに4年9カ月、振り回されていた私にとって、優く労わるようなSEXはある意味新鮮で悪くなかった。



その印象を想像していた私は、次の瞬間それが正しかったのかどうなのか判断がつきかねた。
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