大人的恋愛事情
後ろに立たれ首筋のキスから始まるのかと漠然と想像していた私の期待を裏切り、手を太股に添えて耳元で囁かれるのは低い声。
「お前もそれなりに応えろよ?」
それがどういう意味なのか理解できないまま耳を舐められ、ゾクリと背中に駆け抜けるのは快感の芽。
低い声はどこか冷めていて、突き放すような言い方に聞こえ少し不安になる。
「お前って言わないっ……」
抗議しようとした言葉は、いきなりスカートの中に入る手に遮られる。
その性急な行動に、嫌な予感がして思わず身体が前へと逃げる。
もちろんそこには皿などが泡にまみれるシンクがあり、それ以上逃げられることもなく。