大人的恋愛事情
弱音
目覚めた土曜の朝は、見慣れないシーツの色に一瞬戸惑うものの、首の下にある腕と背中を覆う温もりに、昨日の夜をすぐに思い出す。
後ろから聞こえる規則的な寝息の音に、少し穏やかな気分でもう一度目を閉じる。
重く気だるげな自分の身体も、気持ちよく眠っているらしい藤井祥悟も、肌に触れる毛布の肌触りもすべてが悪くない。
力が抜け、投げ出される腕に手を添える。
昨日何度も私を抱きしめた腕。
あの後は余裕を取り戻した男の、優しさしか見せなかった手に自分の手を重ねるとそれが少し握られる。
無意識なのか、入っているのかどうかもわからないほどの力に、やっぱり悪くないと思えた。