大人的恋愛事情
なんとなく家で食べよう的な雰囲気になったから、じゃあそうする?的な感じだっただけで……。
「好きなのかも?」
「は?」
「嫌でもないってことは、意外に好きなのかもね」
菜箸で鍋の中の具材を壊さぬよう混ぜていると、突然横からキスをしてくる男。
頬に触れるそれを避けもせずに視線を向けると、熱いのか冷たいのかよくわからない視線が私を見ていた。
「俺も意外に好きなのかもしれねえぞ?」
俺も意外に好き?
料理を?
意味がわからなくて藤井祥悟を見ながら、少し考える私の今度は唇に軽いキスをしてくる男が、微かに笑いながら呟いた。
「嫌でもないみたいだしな」