大人的恋愛事情
 
それはこの行為にたいして求めているのか、私の心が求めているのか。



「集中しろよ」



上から私を見おろし、微かに笑って呆れたような声を出しながら頬に温かい手を添える。



そうされると、胸の奥がキュッとなったりして……。



「なんだ?」



その問いは、胸の奥と身体の奥との連動を察知したことによるもので。



胸の奥が見透かされた気がして思わず顔を背けた。



頬に触れた手とは反対の方を向くと、頬から首筋に滑る手。



その手がゆっくり身体の真ん中を撫でながら、通り抜ける。



肌を滑る、愛おしそうな手の動きに胸の奥が満たされ、それを伝える私の身体。



「締めるなよ……」
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